この記事は高専OBOG Advent Calendar 2019 - Adventer・24日目の記事です。
今年のクリスマス・イブも予定がない男・にしこりさぶろ〜です。株式会社BearTailというベンチャー企業で、Androidのアプリ開発をメインにフロントエンドやサーバーサイド、はたまた採用広報っぽい何かをやっていたりします。
(詳細なプロフィールはこのブログのAboutを見てね😉)
さて、タイトルにもある通り、この記事では今年登壇させていただいたイベントの中でも「高専に関わるイベント」を中心に、資料作成中に考えていたことや、登壇したことで得られた事、失敗した事等々を振り返りたいと思います。
今年は個人での登壇、企業スポンサーとしての登壇、全て合わせるとなんと18回!この内、「高専に関わるイベント」と判断した下記5つのイベントをメインに、30分以上の登壇となったDroidKaigi 2019・IM@S Engineer Talks 2019・Kotlin Fest 2019の3つを番外編として触れていきます。
振り返りの前に、僕が登壇の時に意識するいくつかのポイントについて、共有しておこうと思います。
※これから書くのは、あくまで「僕自身の口から話す登壇に対するスタンス」です。同じスタンスを他の登壇者に対して強制する意図は全くありません。
今所属している会社が「無駄な時間を減らして豊かな時間を創る」ことをビジョンとして掲げている手前、最優先に守るべき事項としています。
また、 「登壇者といえど、イベントという「枠」を用意してくれた運営の方々には最大限の敬意を払うべきで、それを表す行動の1つが発表を時間内に抑えることではないか」という、個人的な思いも強く持っていたりします。仮に時間オーバーしても、それを補ってあまりあるような中身の濃い話ができれば良いのかもしれませんが、生憎そこまでの自信はこれまでもこれからも持てそうにありません😇
当たり前かもしれないですが、基本的に僕は「自分が実際に手を動かして体験したこと、感じたこと」しか話しません。どこかの本やサイトに載っていること、または他人が話したことをそのまま伝えるだけであれば、僕の口からではなく、一次情報に直接アタックした方がより真理に近い内容を吸収できると思うからです。
「どこかの本やサイトに載っていること」の典型的な例として、ライブラリやフレームワークの使い方解説が挙げられますが、これに関しても「手元でできる限りしっかり動作するサンプルレポジトリ」を発表前に用意しておくことを意識しています。要は、「一次情報で理解が追いつかなかった方々」の手助けになる実例を披露したり、あまり知られていないライブラリやフレームワークに対して「面白そうだし触ってみよう!」と思わせたりできれば、それは自分にしかできない価値提供に繋がるのではないか、そんな感じのスタンスです。
僕の中で『登壇』という行為は、基本的に聴衆の方々の時間を奪うモノだと捉えています。そのため、奪ってしまった時間よりも多くのリターンを得られるよう、できる限りの準備をしてから壇上に上がるようにしています。
ここで言うリターンとは、「僕が話すことで聴衆が得られる新たな知識」と「『楽しい!』または『興味深い!』といった正の感情」だと僕は考えています。どんなイベントでも聴衆のバックボーンや知識はある程度偏るモノなので、その偏りに合わせて紹介する実例を選んだり、解説の際の言い回しを変えたり、様々な工夫を凝らして 「何を、どうやって話せば目の前の人達に有意義な時間を過ごしてもらえるか」を毎回突き詰め、発表に盛り込むようにしています。
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、ポイントを先に提示したことで、僕の振り返りに対する評価基準もうっすら見えたのではないかと思います。すなわち
この3点を満たすことができたかが基準となります。では、1月から順に振り返っていきます!
3が日直後から喋ってるのワーカホリックすぎる
仲良くさせてもらっている高専キャリアさんのイベントでのスポンサーLTです。第1回も同じくスポンサー枠で登壇させてもらったのですが、「ご注文は進捗ですか?」というテーマに合わせて「前回からの会社としての進捗」をメインにお話しました。
ベンチャー企業、かつ高専生向けの発表でありながら、技術ではなく「掲げるビジョン」と「組織・カルチャーづくりへの挑戦」を全面に出す内容だったので、どこまで受け容れてもらえるか正直不安でした。
ですが、言いたいことはかなり伝えられたように思います。僕が話した 「バリューの策定とその意義」に言及してくれたブログ記事の存在が何よりの証拠でしょう(とても嬉しい)。
今回のイベントではバリューを設定することの重要性、弊部に必要なバリューというものがどういう物なのかを考えるきっかけになった。 - 高専生が白メガネ越しで見た高専キャリア
更に、この時の登壇がアルバイト採用にも繋がっているので、自分しか話せない自社のユニークな側面を伝えることができたのでは、と思います。
述べ1000人にも及ぶ国内のAndroidエンジニアが一堂に会する大規模カンファレンス・DroidKaigi。そのセッション枠で30分喋らせてもらいました。人生初めての大規模カンファレンス、しかも倍率約3倍のCfP選考を通過しての登壇だったので、めちゃくちゃ緊張しました。
内容は、Androidのユニットテストに使うライブラリの導入方法の解説です。かなりイケてるライブラリにも関わらず、自分が導入した段階では異常なほど情報が少なく苦労したことが、喋ろうと思った直接のきっかけです。
目指したのは1点、 「この発表を聴いてくれた方が同じ苦労をすることなく、ライブラリを導入できるようにする」ことです。そのために、実際に動作するコードと、「そのコードは何故必要なのか」の解説文を資料に盛り込み、発表を組み立てました。
正直、この発表のおかげで紹介したライブラリの使用者が増えたかと言われると、怪しい側面があります(僕自身、後日より使い勝手の良い別のライブラリを見つけてしまい、今はそちらをメインで使用している)。ただ、これだけの大きなカンファレンスで話せたという事実が、自分の中で大きな自信となったのは確実に言えます。
それから、小鳥さんのぬいぐるみを肩に乗せたのも、この時が最初です。以前参加した大きなカンファレンスの懇親会で、「質問したいことがあっても登壇者を全く見つけられない」ことが何度かあり、登壇者側になった時にはその対策として、「個人が特定できる目印を身につけよう」と考えていたのが直接のきっかけです。DroidKaigiの時はあまり有効活用できませんでしたが、後々の勉強会やカンファレンスでは良い方向に効力を発揮してくれています。
1月に続いて、高専キャリアでのスポンサーLTです。アイディアソンのテーマ説明まで含んでいたため、テーマに繋がる自社サービスの強みを厚めに話す構成にしました。
アイスブレイクを兼ねた最初の自己紹介スライドで若干スベりました😅 「こうすればウケるやろw」と安易に突っ込んだスライドが見事に見当違いだったことが直接の原因でしたが、DroidKaigi直後で少し自信過剰になっており、本当に聴衆が求めるモノを真剣に考えられていなかったことが影響していたように思います。ただ、ここでも高専生数人をアルバイト採用まで結びつけることができ、会社のユニークな魅力を伝えられることはそこそこ成功したのではないかと思います。
あと、アイディアソンのファシリテートが色々分からな過ぎてマジで死ぬかと思いました😇
アイマス好きなエンジニアが集まってLTをする謎イベント、そこの長い登壇枠に自ら手を挙げ喋ってきました。
1月頃から地道に作っていたKotlin/JS製Webアプリ・『小鳥さんの自習室』の初お披露目となった登壇です。 「目の前にいるプロデューサーを全力で楽しませる」ことを最大の目標に、 「この発表が1人でも多くのKotlinの楽しさを知るきっかけとなる」ことを裏目標として準備をしました。
発表当日まで、楽しんでもらえるかあまり自信はありませんでした。30分という長時間の発表、Kotlinエンジニアの少ない会場、そして謎の勢いで作ってしまった自作コミュと壇上での寸劇…。初めての要素が多かったために、準備中「これをやればウケる」という確信は最後まで持つことができませんでした。
そして当日。動画を観ていただければ分かると思いますが、びっくりするほどの大ウケでした。ミリシタのキャプチャを切り貼りして作った自作コミュと寸劇が、予想を遥かに超えた盛り上がりを見せ、その後の細かな笑いポイントでも多くの人が反応を返してくれ、「よっしゃ!」となりました。「楽しませる」という当初の目標は文句なしの達成と言えるでしょうし、この発表の後、なんとKotlin/JSでポートフォリオサイトを作った人(参考: newgenerations.im)が出てきたので、「Kotlinの楽しさを知ってもらう」という裏目標も達成できたように思います。
おそらくですが、最後まで楽しんでもらえるかの確信が持てなかった故に、ギリギリまで自作コミュや発表資料の調整を続けたこと、これが成功の要因だったのかなとうっすら感じます。
高専カンファレンスin北海道に関するツイート - Togetter
#kosencof131hokkaido のツイートをまとめました
こちらも長い枠。「アイドルプロデュースでエンジニアとしての成長を超加速させた話」という、一見ふざけたタイトルでめっちゃ真面目な社会人経験の振り返りをしてきました。
間違いなく24年の人生で最高の発表だったと思います。Togetterの反応も、終わった後の懇親会もポジティブな反応ばかりでしたし、何より「話していて楽しい!」と「伝えたいことを伝えられた!」というどちらの感情も、今までにないレベルで感じられたことが強く心に残っています。
内容についてですが、基本何を話してもOKな高専カンファ + 社会人 + 長い枠というレギュレーションから、キャリアに関するエモい話をしようというのは最初から決めていました。「アイマスと人生を絡める」点に関しては、周囲のプロデューサーの方々と交流する機会が増えていく中で、「僕以上にアイマス世界のアイドルを参考に人生を歩んでいると断言できる人はいない」という確信を持ちつつあったため、内容のユニークさで不安になることは殆どなかったです。
問題は時間でした。聴いてくれた方は分かるかと思いますが、この登壇では2016年4月の新卒入社から2019年2月のDroidKaigi登壇までの話しかしていません。学生が大半を占めるであろう高専カンファで、学生時代の話をバッサリ削るのはそこそこ勇気が要りましたし、また2019年のGW後にもアイマスから再び学びを得てガラリと行動を変えた瞬間があるので、社会人トークに限定してもまだ15〜20分程度話せる余地があったりします。
いくらでも熱く語れるネタだった手前、話足りない気持ちも確かに強かったですが、「与えられた時間で目の前の方々に対し最大の価値を提供する」ことを外さず話し切ったことが会心の出来に繋がったのは間違いないと思います。道を外しそうになった時に振り返れる経験を積むことができ、めちゃくちゃ良い時間を過ごせました!
北海道カンファの1週間後、Kotlinエンジニア向けとしては国内最大のカンファレンスで話してきました。45分!長い!これもめっちゃ緊張したので、Tシャツまでアイマス仕様にして乗り切りました(?)
内容は、Kotlin/JSを使ってWebアプリを作るハンズオン、といったところでしょうか。正式リリースから2年も経過しているにも関わらず情報が殆ど表になく、Webアプリの実例はほぼ皆無といった状況だったので、CfPは正直かなりの確率で通る自信がありました。
悩んだのはCfPが通った後、「何を解説すれば、このKotlin/JSをKotlinエンジニアの方々に使ってもらえるか」です。幸い、手元にはそれっぽく動作するWebアプリが複数存在したため、「全くイメージが湧かない人向けに何が作れるかを見せる」→「実際のコードと何故そう書くかを順に説明する」という手順で、ある程度発表としての形は整えることができました。
これも僕の発表がきっかけでKotlin/JSの人口が増えたかというと疑問が残りますが、Kotlin/JSを既に触っているエンジニアの方々と沢山知り合えたのは大きな収穫だったと思います(それまでマジで国内に自分しかいないと思っていた)。
Kotlin Festから1週間後、今度は木更津高専でLTしてきました。タイトルは「人類には早すぎる技術を追いかける時の備忘録」、つまりKotlin Festの時に出来なかったKotlin/JSつらかった時に頑張った裏話的な内容です。
情報も仲間も少ないKotlin/JSを追いかけていた時、モチベ維持としてやったことを話しました。なんとか10分以内に収めましたが、途轍もないマシンガントークになってしまい、その場の反応を見る限りではメッセージはしっかり伝えられなかったと感じました。
それからつらかったところをネタにする箇所、そちらに力点を置きすぎたのも失敗だったと思います。「誰かに学びを得て欲しい」よりも「笑かして目立ちたい」という利己的な欲求が強く出てしまったこと、反省して今後に活かしていきたいです。
ようやく最後、小山高専の文化祭中に行われた高専カンファです。20分枠で「8年かけて趣味プログラミングで成果を出せるようになった話」をしてきました。
要約すると、「趣味プログラミングで最近成果出している」→「学生時代は全然そんなことなかった」→「どうして変われた?」という自分のストーリーを順に話し、最終的に「楽しいことをマイペースに続ければ道が見えてくるかも」でまとめる、といった流れです。
1ヶ月ぶりに資料見返しながら感じましたが、結論に至るまでのストーリーが長すぎたせいで、かなりぼんやりした結論となってしまいました。この登壇で話した過去トークは「学生時代 + 社会人生活満遍なく」だったので、北海道カンファで話した過去より長い期間の出来事を10分も短い時間で話した訳です。そりゃおかしなことになりますね。
長い時間の登壇を短期間に連続して成功させたことで、完全に調子に乗っていたことは否めないと思います。偉そうに登壇の時意識するポイントを話しておきながら、「人前に出る前にまずは自分の中でしっかり咀嚼する」という、かなり手前の段階での反省になってしまい申し訳ない限りですが、次に活かしてよりよいトークをしていく以外にできることはないので、改善していこうと思います。
まずは今年参加させていただいた各イベントの運営のみなさま、本当にありがとうございました!おかげで今年も、沢山の学びと成長を得ることができました!
さて、長々と書いてしまいましたが、やはり月1以上のペースで前に立ち続けると、インプットの密度がとにかく半端じゃなかったという印象を強く感じます。そして、今年特に新たな発見だったのが、「成功の後の失敗で、それまでの世界の見え方が成功の時とは違った変わり方をする」ということです。今まで無意識のうちにできていたことが、心境の変化によってできなくなり、何故できていたのかを検証することで意識すべき点の言語化に繋がる。このサイクルはどんなことにでも応用が効きそうですし、一度経験したことで成功体験の言語化も更に精度良くできるようになる、そんな気がします。
最後にOBっぽいことを言うと、「基本何を話してもOK」「何を話しても大半の人が耳を傾けてくれる」、そんな高専カンファは登壇の練習にマジでもってこいということです。少しでも話のネタがある人は、学生だろうとなんだろうとガンガン前に立って欲しいと思います。僕も全力で聴きます。
そして、何回か前に立って「もう少し上手く話したい!」と思った時、この記事で共有した「僕が準備や壇上で考えていること」が少しでも役に立てると嬉しいなと思います。
登壇以外のイベント回数も集計してみた。
1年の土日の半分をイベントで使い切ったのか…体力よく持ったな…( ˘ω˘)
2020年はもう少し慎ましく過ごそうかな…( ˘ω˘)